多忙を極める先生方にとって、日々の業務効率化は待ったなしの課題です。その解決策として、ここ数年注目されているのが生成AIの活用です。

皆さんは生成AIを活用できていますか?
生成AIは先生が本来の業務に集中するための「強力なパートナー」となり得ます。
なるべく先生が楽に使えるようにコピペ可能になっています!日々の業務効率化に役立てれば幸いです!
【コピペOK】明日から使える!校務が劇的に楽になるプロンプト10選
生成AIの真価は、具体的な「レシピ」、つまりプロンプトにあります。
ここでは、先生方が日常業務ですぐに使える
10の基本プロンプトと、それをカスタマイズするための「追加の指示例」
をご紹介します。
大切な心構えは、一度の完璧な指示で完成させようとしないことです。
まずは基本プロンプトで質の高い「たたき台」を作り、そこから「追加の指示例」のように短い対話を重ねることで、AIの回答はより洗練されていきます。
このAIとの共同作業こそが、時短の鍵です。
小テスト・クイズの自動生成
地味に時間を圧迫してくるのが、小テストや授業で使うクイズの問題作成ですよね。
この時間のかかる作業をAIに任せましょう。単語の穴埋めから、複数の形式を組み合わせたテストまで、レベルに合わせて自動生成できます。
#役割:
あなたは【高校の化学】の教師です。
#タスク:
【周期表と原子の構造】に関する【10問】の小テストを作成してください。
#制約条件:
- 対象:【高校1年生】
- 問題の組み合わせ:【選択問題5問、記述問題3問、穴埋め問題2問】を含めてください。
- 難易度:単元の復習に適した【中級】レベルに設定してください。
- 出力形式:まず問題リストを提示し、その後に、それぞれの解答と簡単な解説が付いた解答一覧を別途提示してください。見やすさのためにテーブル形式を使用してください。
【追加の指示例】
記述問題には、思考力を問う応用問題を1問含めてください。
生徒が間違いやすい「同位体」に関する問題を必ず出題してください。
指導案のたたき台作成
公開授業などで指導案を書かなければいけない・・でも久しぶりに書くから果たして・・・そんな時に役立つのが生成AIです!
専門性が発揮される指導案作成ですが、骨子を作るプロセスは時間がかかりますよね。AIとの対話を通じて、構造化された指導案のたたき台を生成し、思考を整理するパートナーとして活用しましょう。
#役割:
あなたは、教員の指導案作成を支援する、経験豊富な指導主事です。親しみやすく、サポート的なチャットボットのように振る舞い、質問は一つずつ行ってください。
#最初の対話:
まず自己紹介をしてから、「どの学年・教科の、どの単元の指導案を作成しますか? 教科書会社名も分かれば教えてください」と質問してください。私の返答を待ってから次に進んでください。
#段階的なプロセス:
1. 基本情報を得た後、学習指導要領の3つの観点に基づいた単元のねらいについて質問してください。もし私が明確な答えを持っていなければ、ウェブ検索で調べた上で、ねらいの案をいくつか提案してください。
2. 次に、単元の構想について尋ねてください。私の答えに基づき、単元の指導にあたっての児童生徒観や指導観を含む、約1000字程度の文章を作成してください。
3. その後、単元全体の流れ、各時間の学習活動、評価方法などを含む単元構想図(単元計画表)をテーブル形式で作成してください。
4. 最後に、作成した単元構想図の中から一つの時間(本時)を選んでもらい、その授業について「導入・展開・まとめ」の構成で詳細な本時案を作成してください。
【追加の指示例】
- (プロセス3の後で)
展開部分に、ICTツール「Kahoot!」を使ったクイズ活動を加えてください。
- (プロセス4の後で)
習熟度が異なる生徒のために、発展的な課題と基礎的な課題をそれぞれ提案してください。
保護者向けお便りの簡単作成
丁寧な言葉遣いや時候の挨拶が求められる保護者向けの文書。
伝えたい要点を箇条書きで渡すだけで、AIが適切な形式の文案を迅速に作成してくれます。
#役割:
あなたは小学校の教員で、保護者向けの配布文書を作成しています。トーンは丁寧で、分かりやすく、安心感を与えるものにしてください。
#タスク:
学校だよりの文章を作成してください。
#目的:
【校内で行う熱中症対策】についてお知らせし、保護者の協力を依頼するため。
#含めるべき内容:
- 学校では、熱中症警戒アラート発令時には屋外での活動を中止する。
- 各家庭で、必ず子どもに水筒を持たせるようお願いしたい。
- 水筒の中身は、水かお茶(糖分のないもの)を推奨する。
#出力形式:
時候の挨拶や結びの言葉を含む、正式な手紙の形式でお願いします。
【追加の指示例】
より緊急性が伝わるように、少し強めの表現に修正してください。
文末に、学校の連絡先と担当者名を追記してください。
指導要録の所見作成支援
【最重要注意点】
プライバシー保護のため、生徒の名前や個人を特定できる情報は絶対に入力しないでください。 必ず「生徒A」「〇〇さん」のように匿名化して使用しましょう。
一人ひとりの生徒について記述する所見作成は、特に時間と精神力を使う業務です。しかし生成AIであれば、生徒に関するキーワードやエピソードのメモを基に、肯定的でバランスの取れた所見文のたたき台を生成してくれます。
もちろん修正は必要になりますが、0→1をAIに任せることでより質の高い文章を短時間で作成することができます。
#役割:
あなたは経験豊富な中学校教師で、指導要録の所見を作成しています。生徒の成長を肯定的かつ建設的にまとめることを目的とします。
#タスク:
以下のキーワードとエピソードを基に、【中学2年生】の生徒に関する200字程度の所見文を作成してください。
#生徒情報とキーワード:
- 長所:【非常に社交的で、級友との協力を得意とする。特に数学と理科の分野で優れた結果を出している。部活動ではリーダーシップを発揮している。】
- 課題・成長への期待:【時に課題を急いで終わらせようとすることがある。】
- 具体的なエピソード:【文化祭の準備では、率先してグループの意見をまとめ、作業が遅れているメンバーを根気強く手伝っていた。】
- 将来の夢:【エンジニアになることを志望している。】
#出力形式:
これらの情報を自然に統合した、一貫性のある段落として記述してください。
【追加の指示例】
学習面だけでなく、生活面での成長についても触れてください。
より客観的な事実に基づいた記述になるよう、情緒的な表現を減らしてください。
ルーブリックの即時作成
評価の透明性を高めるルーブリックですが、作成には手間がかかります。また、自分に知識がないとオリジナルのルーブリックを作るのは難しいですよね。
評価項目と段階を指定するだけで、客観的で分かりやすいルーブリックの草案を瞬時に作成できます。
#役割:
あなたは【国語科】の教師です。
#タスク:
【中学3年生】の【意見文】を評価するためのルーブリックを作成してください。
#評価項目:
以下の4つの観点で評価します。
1. 【主張の明確さ】
2. 【根拠の適切さ】
3. 【文章の構成】
4. 【表現力】
#評価段階:
各項目について、【優れている(A)】、【良好(B)】、【要改善(C)】の3段階で評価基準を設定してください。
#出力形式:
評価項目を行、評価段階を列とするテーブル形式で出力してください。各セルの記述は、生徒が自己評価にも使えるよう、具体的で分かりやすい言葉で記述してください。
【追加の指示例】
評価段階を「S, A, B, C」の4段階に変更してください。
各評価項目の重み付け(配点)も提案してください。
グループワーク・討論のテーマ生成
教科の授業もさることながら総合学習やHRでもグループワークや討論を取り入れている学校も多いのはと思います。
専門外の討論の議題を考えるのは最初はなかなか難しいもの。そこで、生徒の思考を刺激し、主体的な学びを促す「問い」をAIと一緒に考えましょう。
単純なYES/NOで答えられない、深い議論を呼ぶテーマ例を生成します。
#役割:
あなたは創造的なカリキュラムデザイナーです。
#タスク:
【「AIと社会」というテーマ】に関するグループディスカッション用の、思考を深める問いを5つ作成してください。
#制約条件:
- 対象:【高校2年生】
- 問いのスタイル:単純なYES/NOで答えられない、オープンエンドな問いにしてください。批判的思考を促し、多様な意見が出るような問いが望ましいです。
【追加の指示例】
SDGsの17の目標と関連付けた問いを考えてください。
賛成・反対の立場に分かれてディベートができるような形式の問いを提案してください。
複雑なスケジュールの調整
【最重要注意点】
プライバシー保護のため、名前など個人を特定できる情報は絶対に入力しないでください。 必ず「〇〇さん」「番号1」のように匿名化して使用しましょう。
保護者面談や特別時間割など、制約の多いスケジュール調整は何度やっても時間がかかりますよね。
参加者の希望や条件を入力すれば、最適な組み合わせを自動で提案してくれます。
#役割:
あなたはスケジュール管理を専門とする、有能な事務担当者です。
#タスク:
三者面談のスケジュールを作成してください。
#制約条件:
- 日程:【11月19日、20日、21日】
- 時間帯:13:00から16:00まで、【10分】刻み。
- 参加者と希望日時:【ここに、保護者名と希望日時(例:「番号1:20日 13:00-16:00」「番号2:19日または21日 14:00-15:00」)のリストを貼り付けます。】
- ルール1:同じ時間帯に2人以上の予約を入れないでください。
- ルール2:【26人】全員が必ずどこかの時間帯に割り当てられるようにしてください。
#出力形式:
日付を列、時間帯を行とし、各セルに名前が記入された、見やすいテーブル形式で出力してください。
【追加の指示例】
各面談の間に5分間の休憩時間を設けてください。
〇〇様と△△様は、連続した時間帯になるように調整してください。
授業やHRアクティビティのアイデア出し
授業の中でもかなり重要な導入部分。アイデアが尽きることもありますよね。そんな時に優秀なのが生成AIです。
授業の導入や学級活動がマンネリ化してきたと感じたとき、AIは創造的な壁打ち相手になります。簡単な指示で、斬新なアイデアを幅広く引き出せます。
#役割:
あなたは、楽しくて魅力的な授業で知られる、ベテランの小学校教師です。
#タスク:
【小学校高学年】の新学期初日に行う、準備が簡単で独創的なアイスブレイクのアイデアを10個提案してください。
#目的:
生徒同士が互いを知り、ポジティブで歓迎的なクラスの雰囲気を作ることを目的とします。
#出力形式:
番号付きリストで、各アクティビティの簡単な説明を添えてください。
【追加の指示例】
準備物が一切不要なアイデアに絞って提案してください。
5分程度で完了する短いアクティビティをお願いします。
事務書類の整形・要約
面談記録の整理など、困っていませんか?
会議のメモや長文の資料など、雑多なテキスト情報を構造化された文書に整形したり、要点を簡潔にまとめたりする作業をAIに任せましょう。
#役割:
あなたはプロの編集者です。
#タスク:
以下の会議のメモ書きを、構造化された議事録に整形してください。
#元のテキスト:
【ここに、走り書きした会議のメモを貼り付けます。】
#出力形式:
- 主要議題:【会議全体の要点を1文でまとめる】
- 決定事項:【箇条書きでリストアップ】
- ToDo(やるべきこと):【「タスク」「担当者」「期限」の列を持つテーブル形式でまとめる】
【追加の指示例】
要約を150字以内で作成してください。
決定事項について、それぞれの背景や理由も補って記述してください。
個別最適な指導・支援のアイデア出し
多様な学習ニーズを持つ生徒一人ひとりに対して、個別具体的な効果的な指導法や教材を考案するのは大きな課題です。
AIに状況を伝えることで、専門的な支援策のアイデアを得られます。
#役割:
あなたは特別支援教育の専門家であり、教材開発者です。
#タスク:
【小学校5年生】のクラスで【分数】の授業を行います。クラスには、抽象的な概念の理解が苦手で、視覚的・体験的な学習が有効な生徒が一人います。
#依頼:
この生徒が分数の概念を理解できるよう、授業内容を調整したり、代替教材を提供したりするための具体的な方法を3つ提案してください。
【追加の指示例】
家庭でも保護者がサポートできるような簡単な活動も提案してください。
その生徒の得意なこと(例:絵を描くこと)を活かした支援のアイデアをお願いします。
もっと学びたい先生へ!AI活用のおすすめ書籍3選
AI活用についてさらに知識を深めたい先生方のために、おすすめの書籍を3冊ご紹介します。理論から具体的な実践例まで、先生方の「もっと知りたい」に応える良書です。
『教師の仕事がAIで変わる! さる先生のChatGPTの教科書』
著者:坂本 良晶 (著)
ITが苦手な先生でも大丈夫です!!豊富な図解で、ChatGPTの基本から授業準備、校務での具体的な活用法までを丁寧に解説しています。AI活用の第一歩を、楽しく、そして確実なものにしてくれる、心強い味方となる一冊です。
『学校の生成AI実践ガイド 先生も子どもたちも創造的に学ぶために』
著者:木村 優志, 合同会社D-project (著), 谷口 天優 (著)
AIの基礎知識から、小・中・高の各学校段階に応じた指導計画や授業での実践事例を網羅したガイドブック。文部科学省のガイドラインも収録されており、個人での活用はもちろん、学校全体でAI導入を検討する際にも最適です。
『先生のためのAI&ICT働き方革命術』
著者:高森 崇史 (著)
ChatGPTやCopilotといった生成AIはもちろん、CanvaやKahoot!など、今すぐ使える300ものICT活用術を紹介する、まさに「時短ワザの事典」。特定の課題を解決したい、手軽なテクニックを知りたい先生におすすめです!
AIを使いこなすためのヒントと注意点
AIへの指示の出し方には、実はちょっとしたコツがあります。AIに特定の「役割」を与えたり、対話を繰り返して精度を上げたりすることで、回答の質は劇的に向上します。
また、AIは便利なツールですが、利用には注意も必要です。特に「個人情報の保護」「著作権」「情報の正確性(ファクトチェック)」の3点は、教育現場で利用する上で必ず守るべき重要なルールです。
より詳しいAI活用のコツや、安全に使うための注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。


まとめ:AIと共に、子どもと向き合う時間を取り戻そう
生成AIは、テスト作成、お便りの文案作成、指導案の骨子作りといった定型的な業務を自動化し、先生にとって最も不足しがちな資源の1つである「時間」を創出してくれます。
生成AIを使うことにより創出された時間を、生徒一人ひとりと向き合い、その成長を支援し、創造性を育むといった、人間にしかできない価値ある仕事に再投資することができます。



まずはこの記事のプロンプトを一つコピーして、試してみてください。
この新しい技術を、自らの専門性を高め、そして何よりも「教える」という仕事の喜びを取り戻すための、頼もしい味方として迎え入れてみませんか。
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