【コラム1】未来を動かす小さな巨人「半導体」| 米中対立のニュースから読み解く、私たちの暮らしとの意外な関係

最近、テレビやインターネットで「バイデン政権、中国製EVや半導体に大幅な関税引き上げへ」といったニュースを目にした方も多いのではないでしょうか。国際的な政治経済の大きな動きですが、「半導体」「関税」と聞いても、私たちの生活にどう関係するのか、いまいちピンとこないかもしれません。

しかし、このニュースの裏側には、現代社会の根幹を揺るがす大きな変化の波と、私たちの生活に関わることもたくさん隠されています。

今回のコラムでは、このニュースをきっかけに、
「そもそも半導体って何?」
「なぜ今、世界中でこれほど注目されているの?」
「関税が上がると、一体どうなるの?」

といった疑問について勉強したこと共有していきたいと思います!

初コラムになります!少しだけ専門的な話も出てきますが、できるだけ身近な例を交えながら、分かりやすく解説していきますので、ぜひリラックスしてお付き合いください。

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目次

半導体って何に使われているの?~意識しないほど、すぐそばにある存在~

「半導体」という言葉には、どこか専門的で難しい響きがあるかもしれません。しかし、その実態は、驚くほど私たちの身近な存在です。

一言でいうと、半導体は「電気を通したり通さなかったりする性質をコントロールできる物質」から作られた、電子部品のこと。

この「電気の流れを制御する」という機能が、現代のあらゆる電子機器の頭脳や神経として働く上で、欠かせない役割を担っています。

例えば、今皆さんがこのコラムを読んでいるスマートフォンやパソコン
その中には、情報を記憶するメモリや、複雑な計算処理を行うCPUといった、多種多様な半導体が無数に詰め込まれています。これらの半導体がなければ、私たちはインターネットの世界にアクセスすることすらできません。

その他にも

  • 家庭では
    テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、電子レンジ…。今やほとんどの家電製品が、最適な運転のために半導体による制御(マイコン)を必要としています。
  • 社会では
    自動車のエンジン制御や自動運転技術、電車の運行システム、銀行のATM、医療現場で使われる高度な検査機器、そして社会全体の情報を支えるデータセンターに至るまで、半導体は現代社会のインフラを根底から支える、まさに「産業のコメ」とも呼べる存在なのです。

このように、私たちは日々、数えきれないほどの半導体に囲まれ、その恩恵を受けて生活しています。

あまりに当たり前に存在するため、普段はその重要性を意識することはありませんが、もし世界から半導体が消えてしまったら、私たちの社会は一日で機能不全に陥ってしまうでしょう。

なぜ今、これほど注目されているの?~デジタル社会の覇権を握る鍵~

では、なぜこの「産業のコメ」である半導体が、今、国家間の対立の火種になるほど注目を集めているのでしょうか。その理由は、大きく分けて二つあります。

爆発的な需要の増加

近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉をよく耳にするようになりました。
これは、デジタル技術を用いてビジネスや生活をより良く変革していく動きのことです。

このDXの核心を担うのが、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、そして5G(第5世代移動通信システム)といった先端技術です。

  • 膨大なデータを学習し、人間のような判断を行うAI
  • 身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながるIoT
  • 高速・大容量の通信を可能にする5G

これらの技術は、すべて高性能な半導体がなければ成り立ちません。

特にAIの開発競争が激化する中で、その計算処理に特化したGPU(画像処理半導体)などの先端半導体の需要は、まさにうなぎのぼりです。

つまり、これからのデジタル社会で主導権を握るためには、高性能な半導体を安定的に確保することが、国家にとっての最重要課題となっているのです。

経済安全保障上の戦略物資と見なされるようになった

半導体は、民生品だけでなく、戦闘機やミサイルといった最新兵器の性能を左右する、軍事技術の根幹でもあります。

そのため、特定の国に半導体の供給を依存することは、自国の安全保障上の大きなリスクとなり得ます。

今回の米国の関税引き上げの背景には、まさにこの経済安全保障の考え方があります。

中国が国を挙げて半導体産業を育成し、技術力を急速に高めていることに対し、米国強い警戒感を抱いています。先端技術の覇権をめぐる米中両国の対立が、半導体を主戦場として激化している。

これが、今の状況なのです。

関税が上がると、私たちの生活はどうなるの?

最後に、「関税が上がるとどうなるのか?」という点について見ていきましょう。

関税とは、輸入品に課される税金のことです。

今回のニュースのように、米国が中国製の半導体に対する関税を引き上げると、以下のような影響が考えられます。

  1. 製品価格の上昇
    米国企業が中国から半導体を輸入する際のコストが上がります。
    このコスト増加分は、最終的に半導体を使った製品(スマートフォンや自動車など)の価格に上乗せされる可能性があります。これは、米国の消費者にとって、直接的な負担増につながります。
  2. 企業のサプライチェーン(供給網)の見直し
    関税が障壁となり、企業は中国からの輸入を減らし、他の国からの調達や、国内生産への切り替えを迫られます。
    世界中に張り巡らされた効率的な分業体制が変化し、一時的に製品の供給が不安定になったり、生産コストが上昇したりする可能性があります。日本企業も、無関係ではいられません。
  3. 国家間の関係悪化と報復措置
    関税引き上げは、相手国に対する経済的な攻撃と見なされることがあります。
    今回の場合、中国が米国の措置に対抗して、米国製品に報復関税をかける可能性も否定できません。そうなれば、両国間の貿易が縮小し、世界経済全体に悪影響を及ぼす「貿易戦争」に発展しかねません。

このように、一国の関税政策は、巡り巡って世界中の企業活動や、私たちの家計にも影響を及ぼす可能性があるのです。

まとめ:ニュースの向こう側にある未来を見つめて

今回のコラムでは、米国の対中関税のニュースをきっかけに、半導体の役割から、国際情勢、そして私たちの生活への影響までを紹介してみました!

普段何気なく使っているスマートフォンの中に、国家の威信をかけた技術開発競争が繰り広げられていると想像すると、少し見方が変わってくるのではないでしょうか。

半導体をめぐる動きは、単なる経済ニュースではありません。それは、これからのデジタル社会のあり方、そして国際秩序の未来を占う、非常に重要なテーマです。

もう少し勉強したい人には以下の本をお勧めします!

次回のコラムでも、また皆さんと一緒に、ビジネスや社会の「今」を読み解いていきたいと思います。

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この記事を書いた人

5年間教員をした後、「子ども達を支えるためにはまず大人から!」と思い、学校で使えるシステムを作成するエンジニアになるべく奮闘中
【取得資格】
・小・中(理科)・高(理科) 第1種教員免許 ・司書教諭資格
・基本情報技術者 ・AWS クラウドプラクティショナー

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