IQよりもEQ!これからの時代に求められる「感情知能」とその鍛え方

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「仕事ができる人は頭が良いはず」そう考えたことはありませんか?確かに、知識やスキルはビジネスにおいて重要な武器です。

しかし近年、「EQ(感情知能)」の価値が急速に高まっています。

世界的な企業では、採用や昇進においてIQだけでなく、EQの高さも重視する傾向が強まっているのです。

EQは職場での人間関係チームワークストレス対応など、ビジネスの様々な場面で必要とされます。

そこで本記事では以下の4項目をまとめました!

  • EQとは何か
  • EQが影響を及ぼすビジネスでの強み
  • EQを高めるための具体的な方法
  • すぐにできるEQを高めるアクションプラン

簡単なアクションプランも紹介しているので騙されたと思って実践してください!

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目次

EQとは何か?

そもそもEQ(Emotional Intelligence Quotient)が何かみなさん知っていますか?

EQとは「心の知能指数」とも呼ばれるもので、感情をうまく扱う能力のことです。EQが高い人はさまざまなプラスの影響をもたらす可能性が高いため、従業員のEQを高めることは企業にとって重要といえます。

「アドバンテッジJOURNAL」編集部 | アドバンテッジJOURNAL
https://www.armg.jp/journal/278-2/

これはアメリカの心理学者ダニエル・ゴールマンが提唱した概念で、次の5つの要素から構成されています。

構成要素説明
自己認識自分の性格や感情の動きを理解する能力。
自己統制破壊的な衝動や気分をコントロールする能力
行動する前に考えて判断する能力
動機づけ成果に向けた情熱。
自分自身だけでなく周囲の達成感を鑑みる能力
共感他者の感情を理解する能力
他者の感情的な反応を受けて対処する能力
社会的スキル他人との調和した人間関係をマネジメントする能力

これらは単なる「感情への敏感さ」ではありません。

EQとは、自分と他者の感情を深く理解し、適切な行動につなげる力を意味しています。

ではこのEQが低いとどうなってしまうのか、EQが低い人には次のような特徴があると言われています。

  • プライドが高い
    自己認識や自己統制が難しいと、自分が傷つきたくないためにプライドが膨れ上がってしまいます。そうなると意見交換は難しく極端な逃げ癖や無視で自分を無自覚に守ってしまう行動が見られます。
  • 不平不満が多い
    動機づけや共感が不足すると、周りに対して自分の発言がどのような影響を及ぼすか考えられなくなるため、不平不満などのマイナス発言が多くなっていきます
  • 怒りをコントロールできない
    自己統制や共感ができないと自分の感情のままに他者へ怒りを向けてしまいます。結果、衝動的に暴言を吐いたり、周囲とのコミュニケーションが難しくなります。
  • 他人の失敗を許さない
    共感や社会的スキルが不足すると、他者の失敗を受け入れることができなくなります。その結果改善の話し合いが難しくなりチームでの行動が難しくなります。
  • 自己中心的
    動機づけや共感が不足すると周囲の人間への配慮が不可能となり、「自分さえ良ければいい。」という自己中心的な考え方をするようになります。
反芻思考の癖のイメージ画像

このようにEQが低いとチームとして動くことが難しく、孤立してしまうこともあります。

そして重要なポイントはEQは先天性のものではなく、訓練をすることで向上させることができる能力であると言われています。

EQを高めると感情をコントロールしやすくなり、対人関係やトラブル発生時に感情の振り幅を抑えることができるため、さまざまな状況に冷静に対処できるようになります。

EQが高い人の特徴とは?ビジネスにおける強み

EQが高い人は、勤務中の些細な場面でもその特徴が表れます。

以下、EQを高めることでビジネスにどんな影響を及ぼすことができるのか、EQが高い人の職場での具体例を紹介します。

感情のコントロールがうまい

EQが高い人は感情のコントロールをすることができます。

例えば、以下のようなことができるようになります。

・ミスを指摘されても感情的にならず、「なるほど、その通りですね」と素直に受け止められる
・後輩や同僚が失敗した時に、怒りをぶつけるのではなく落ち着いて対話し、原因分析改善ができる
・私生活の感情を仕事に持ち込まないため、安定して落ち着いた様子で毎日仕事と向き合うことができる

感情がコントロールできても仕事ができなければ意味がないだろう!と思うかもしれませんが、このような穏やかな姿勢の一つ一つは信頼を積み重ねることができます

信頼を積み重ねることができれば、時間はかかっても取引先として選んでもらえたり、チーム内での結束が固まり成果を上げやすい環境を作ることができるのです。

相手の立場に立てる

EQが高い人は利他的で思いやりを持っているため、相手の立場に立って物事を考えることができます。

時々頭のいい人や仕事ができる人が口にしてしまいがちな

という言葉。

言われた方としてはできない自分がそもそもの原因であることはわかっていても、この言葉を言われてしまうと解決もできず、さらに心が傷付いてしまいます

コミュニケーションにおいてこのような言葉は決して選ぶべきではありません

EQが高い人はこのような解決できない・心を傷つける言葉選びはしません

同僚が困っているときや失敗してしまった時には、「大変だったね。何か手伝えることはある?」自然に声をかけ、共感を示すことができます。

このようなコミュニケーションができると軌道修正改善を素早く行うことができます。

フィードバックを素直に受け取る

EQの高い人は、自己成長のために耳の痛い助言も冷静に受け入れます。そして、それを今後どう活かすかを主体的に考えます。

耳の痛い助言というのは時として受け入れたくないものでもありますよね。

耳の痛い助言を受け止め自分の弱さを認めるのは恥ずかしさ」「悔しさ」「情けなさ」などマイナスな感情も生まれてしまうものです。

しかし、EQ高めておくとそんな時に自己統制をすることができます。

衝動的に湧き上がるマイナス感情を、無視して現実から逃げることはしません

しっかりと見つめて判断することができます。

また、その後自分は何をすべきなのか、周囲との状況を鑑みて自分の動機づけを行い状況の改善に向けた行動をとることができます。

チームの空気を読むのが得意

みなさんの職場に会議の雰囲気が悪くなったとき、さりげなく場を和ませたり話題を変えて状況を改善できる人はいませんか?

実はこういう人はとてもEQが高い可能性があります。

EQが高い人は普段から共感や動機づけの能力ないしは社会的スキルが優れているため
「今この話題を続けるのはみんなの気持ちが下がってしまうかもしれないな」
「今少し空気が悪いから少し雑談でも入れてリフレッシュしよう」

などの工夫を率先して実行することができます。

このようにチームでの仕事を円滑に進める時にキーマンとなってくれるのはEQが高い人の特徴です。

EQを高めるための具体的な4つの方法

EQは生まれつきの資質だけでなく、意識的なトレーニングで誰でも向上させることができます。

すぐに実践できる4つの方法を紹介します。

マインドフルネス瞑想

今この瞬間に意識を集中させる練習。

呼吸に意識を向けることで、ストレスに流されない心の基盤を作ります。

私自身1日短くて10分、長くて30分程度瞑想をしています。

↓詳しいやり方はこちらの記事のルーティン3で紹介しています!ぜひご確認ください!

最初は効果をなかなか実感できませんでした。

しかし2週間ほど続けておるとネガティブな感情になった時にふと、
「あ、自分今ネガティブな感情になってる。そういう時もあるよね」
「あ〜今自分落ち込んでるなぁ。ちょっと休もう」

ようになりました。

この習慣がつくまでは、
不安で夜眠れない・・・
朝一から憂鬱な気分・・・

と言うこともありました。

しかし毎日10分簡単な瞑想をすることでネガティブな感情に飲み込まれるのではなく、今こう感じているんだな。と外側から観察できるようになりました

時間はかかりますが、確実に自己認識能力を上げることができます。

アサーティブ・コミュニケーションの練習

みなさんは、アサーティブ・コミュニケーションという言葉を知っていますか?

アサーティブ・コミュニケーションとは、「お互いを尊重しながら意見を交わすコミュニケーション」のことです。アサーティブ(assertive)とは「自己主張する」という意味を持ちます。自己主張といっても、自分の主張を一方的に述べることではありません。相手の意見も尊重しながら、自分の意見や要望を伝えることを指します。

アサーティブ・コミュニケーションでは、相手を不愉快にさせず、自分もストレスを感じずに意見交換することができます。アサーティブの代わりにアサーション(assertion)という言葉が用いられることがありますが、同様の意味です。

アサーティブ・コミュニケーションとは? 職場で求められる背景や実践する際のポイントを解説
https://www.recruit-ms.co.jp/glossary/dtl/0000000202/

上記にもありますがassertiveとは「自己主張する」という意味です。

これでは一方的にな押し付けになってしまうのでは?と思う方は以下の例を見てみてください。

職場でコピー用紙を補充してくれない同期がいる。そんな同期への声掛けとして・・・

パターン1
「自分が最後に使った時にコピー用紙なくなったら補充しておかないとダメじゃない?最後に使った時なくなっていたら補充しておいて。」
パターン2
「コピー機を使おうと思った時に紙がないと最後の人がすごく自分勝手に感じてしまう。余計なイライラを増やさないためにも自分が最後だったら補充しておいてくれると嬉しい。」

どちらの方がお互いを尊重していると感じますか?

パターン1だと
「〇〇だからあなたも〇〇してください。」
というように一般論の押し付けになってしまいます。

そうすると言われた方は何も言い返せなくなったり、「そんな言い方しなくても!」「それが普通とは限らないだろ!」と怒りの感情を持ちやすくなります。
なんとなく語気も強く感じ、少しきつい言い方に感じてしまいます。

パターン2だと
「自分は、〇〇と感じたから、〇〇してくれると嬉しい。」
とあくまで自分の考えを主張しているだけです。

何かを押し付けているわけでもないため、もし相手に言い分があれば「自分は〇〇だと思っている」ということを主張しやすくなります。

このように対等な関係で、あくまで自分の気持ちや自分が感じたことをベースにコミュニケーションを取るのがアサーティブコミュニケーションです。

アサーティブコミュニケーションによるコミュニケーション改善のイメージ図

誰かへの指摘や指示の時には一度「私は〜と感じた。だから〜してほしい」というテンプレートに伝えたいことを当てはめてみてください!

フィードバックの受け入れと振り返り

ここからは外的刺激にどう対応するかという段階になっていきます。

まずは他人からのフィードバックに「ありがとう」と感謝し、具体的な改善点を自ら考えることをしてみましょう。

注意さると恥ずかしかったり、プライドで不貞腐れてしまうという人もいると思います。

そこで以下の質問で自問自答し、受け入れ・振り返りを実施してみましょう。

  • 自分が受けたフィードバックを言語化できる?
  • 〇〇を今後なくすためにはどうしたらいいだろう?
  • なぜ〇〇が怒ってしまった?
  • その時自分はどんな行動をしていた?
  • 〇〇を事前に予防するために何ができた?
  • 〇〇が怒った時どんな対応をしたらよかった?

このようにフィードバックを受けた事象を理解し、その事象に対して事前・最中・事後それぞれを振り返ってみましょう。

そうすることで原因が明確になり、自分の行動を修正することができます。

しっかりと振り返りができれば、自分の中で曖昧なモヤモヤが残らないため気持ちの面でもかなり安定できます。

視点を変えるリフレーミング

落ち込む時やネガティブになる時は視点を変えて物事を見つめましょう。

「失敗した」を「成長の機会を得た」とポジティブに捉え直すなど、視点の転換で感情をコントロールします。

自分のマイナス感情をプラスに変えるという「リフレーミング」を実践してみてください。

リフレーミング(reframing)とは、物事の枠組みを変え、違う視点から見ることを意味する心理学用語です。欠点や不安といったネガティブな物事も、考え方の前提を変えることで、長所や期待などポジティブなものとして捉えられるようになります。その結果、人間関係やビジネスが円滑になるのです。

リフレーミングとは? 意味や効果、5つの手法とやり方、具体例 – カオナビ人事用語集
https://www.kaonavi.jp/dictionary/reframing/

例えばよくある失敗もこんなふうに視点を変えることができます。

締め切りに間に合わなかった
  →自分の作業スピードがわかった!
資料を見にくいと言われた
  →資料作成の技術を身につけるチャンス
会議の内容が難しくてわからなかった
  →理解できれば知識がつく

もちろん全てがこんなに簡単にうまく変換できるわけではありません。

しかし失敗の裏には必ず原因があり、それを改善できれば必ず成長できるのです。

今できていないことと捉えるのではなく、次にできるようになることに目を向けましょう!

毎日の習慣にできる!EQを育てるアクションプラン

EQは日々の小さな意識の積み重ねで高めることができます!

忙しいビジネスパーソンの方でも無理なく実践できるアクションプランを5つ紹介するので、気になるものから試してみてください。

  • 朝1の感情チェック
  • 週1回のEQ振り返りタイム
  • 感謝リストを作成する
  • 他人を観察して学ぶ
  • 感情に名前をつけるラベリング

朝のルーティンに「感情チェック」

皆さん、朝起きてすぐにスマホを見ていませんか?

朝起きてすぐのスマホにメリットなんてほとんどありません

では、スマホを見る代わりに何をするのか。

起床時にすぐ「今日の気分は?」と自問してみましょう!

たったこれだけ?と思うかもしれません。しかし、朝一番に自問することは自分の感情に意識を向ける第一歩となります。

毎日この経験を積みかさね自分の日々の感情の変化に気づくことで、自己認識力が高まります

週1回の「EQ振り返りタイム」

週末に10分設けて「今週の感情的な場面」「その時の対応」を振り返ってみましょう。

最初は意外と難しいかもしれません。

何気なく日々を過ごしていると自分の感情はいっときのもので意識しないと流れていってしまうからです。

しかしこの振り返りを行うと自分の行動や感情に意識を向けることができます。

週に1回10分程度ならそんなに負担になりません。

スマホメモ、ノート、PC、ツールは問いません!なんでも良いので10分間振り返って記録をつけましょう。

そうすることで無意識を意識下に置くことができるようになり、自己管理能力が向上します。

感謝リストを作る

毎日終わりに「今日感謝したこと」を3つ書き留めましょう。

これを繰り返すことでポジティブな感情が増え、EQの基盤が強化されます。

そもそもネガティブな気持ちがすぐに出てくるのは「反芻思考」という思考の癖なのです。

《ぐるぐる思考(反芻思考:ruminating thoughts)》とは、過去の出来事・体験についてネガティブな思考を繰り返し、くよくよと考え続ける傾向・思考習慣のことです。単に《反芻(はんすう:rumination)》、あるいは《抑うつ的反芻(depressive rumination)》とも呼ばれ、うつ病や不安障害などさまざまな精神疾患の症状であるとともに、それらを引き起こすリスクでもあると考えられています。

ぐるぐる思考(反芻思考)~嫌な考えが止まらない~|心療内科・精神科|うつ病治療の品川メンタルクリニック
https://www.shinagawa-mental.com/column/psychosomatic/rumination-thinking/

この癖がついていると初めのうちは感謝の言語化は難しいです。だからこそ、思い浮かばない時は以下のような簡単な感謝で問題ないです!

  • 天気が良かったから気持ちよく過ごせた!感謝!
  • 書類提出の時ありがとうと言ってもらえた!
  • 会社のトイレを清掃員さんが掃除してくれていた

これを続けると物事をポジティブに考える思考の癖がついていきます。

こうなると身の回りの小さな幸せに敏感になっていきます。また、他人の行動の裏にある優しさや思いやりへの感度を高めることができます。

こうしてポジティブな感情が増え、精神も安定し自分をコントロールする能力がついていきます。

他人を観察して学ぶ

職場のEQが高い人の行動を観察し、「その場面でどう対応するか」を想像しましょう。

誰を観察対象にすれば良いかわからない!という人は以下のような特徴を持つ人を探してみてください。

  • いつも機嫌が良さそうな人
  • グループに一人いてくれると助かるわぁと言われている人
  • 誰からも〇〇さんなら大丈夫でしょ!と言われている人

その人がどんな行動をとっているのか、裏の感情は見えなくてもまず真似をしてみましょう

EQが高い人の行動を真似ると自然と周りの人の態度や行動も変わっていくはずです。

まずはお手本となる人を見つけて行動や言動を真似してみましょう!これを繰り返すことで、共感力と社会的スキルが育ちます。

感情に名前をつけるトレーニング

これはある程度自分の感情をコントロールできる段階になってから実施してください。

日々の生活の中で感じる「モヤモヤする」「イライラする」といった漠然とした感情を、具体的な言葉で表す練習をしてみてください。

例えば以下のように感情を分類してみましょう。

モヤモヤする
→悔しみ、悲しみ、嫉妬、不安
イライラする
→焦り、嫉妬、羨望、不安

このように漠然とした感情を分類することで感情認識力が深まります。

この分類ができるようになると自分の気持ちに向き合い、そこからの原因分析や改善が容易になります。

そうすることでなんとなくよくない気持ちが消えない という状態が和らぎ冷静に自分の感情を扱うことができるようになります。

まとめ:EQを育てることは、自分を大切にすること

EQとは、感情に振り回されず、適切に向き合うための”心のスキル”です。

ビジネス環境における複雑な人間関係や急激な変化に対応する力として、その重要性は増していきます。

上記で紹介したように、EQは意識的な取り組みで誰でも伸ばすことができます。まずは自分の感情に目を向けることから始めましょう。

遠回りなようで、信頼構築と成果向上への近道になりえるかもしれません。

そして何より、EQを高めることは「他者のため」「仕事のため」だけでなく、「自分らしく生きるため」のスキルにもなってくれます。

焦らず、着実に育んでいきましょう!

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この記事を書いた人

5年間教員をした後、「子ども達を支えるためにはまず大人から!」と思い、学校で使えるシステムを作成するエンジニアになるべく奮闘中
【取得資格】
・小・中(理科)・高(理科) 第1種教員免許 ・司書教諭資格
・基本情報技術者 ・AWS クラウドプラクティショナー

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